sugarless time

甘く切ない80年代、甘くない現在の興味のあること中心に綴ります。

『サン・ジョルディの日』がある4月に『鷺沢萠:葉桜の日』を再読した。

 

新年度となる4月といえば色々なイベントがありますけど、忘れてはならないのが『サン・ジョルディの日』ですね。

といっても馴染みのない方も多いかと思いますけど4月23日が『サン・ジョルディの日』、1年前にちょっとだけ由来とかを書いてあるので興味がある方は下のリンクをご覧ください。

www.sugarless-time.com

 

1年前の『サン・ジョルディの日』月間に好きな作品を紹介してますので、こちらも興味がありそうだったら覗いてみてください。

www.sugarless-time.com

 

www.sugarless-time.com

 

www.sugarless-time.com

 

わたくしごとですけど、この4月で在宅勤務1周年を迎えました(汗)

色々変わったことがあるなかで、今までおよそドアツードアで片道1時間半あった通勤時間がなくなりました。

 

それによって今まで読書にあててた時間がなくなり、本を読む時間が激減、この1年で読んだ本は10冊以下です(涙)

 

サン・ジョルディの日』を迎えるにあたって、本を読む時間を作ろうと思い過去に読んだ作品を再読しようと思い4月という季節柄もあり書棚で目を引いた『鷺沢萠』さんの『葉桜の日』のレビューです。

f:id:sugarless_ice:20210416160212j:plain


新潮社より単行本として発売されたのが平成2年(1990年)、文庫としての平成5年(1993年)に新潮文庫から発売されています。

タイトルにもなった『葉桜の日』は1991年に『芥川賞』候補、1990年『三島由紀夫賞』候補となった『果実の花を船に流して』の二編が収められています。

 

1990年代初めの作品ですし、若い人には作者『鷺沢萠』さんも馴染みがないと思います。なぜかといえば2004年に35歳の若さで自ら命を絶ってしまったから。

ja.wikipedia.org

 

本の内容に戻りますといってもネタバレするようなことは毎度ですが書きたくないので、あらためて読んでみて『鷺沢萠』の早過ぎる死を悲しむばかりです。

 

1968年生まれの著者が書いた二編が書店に並んだのは1990年11月、作品を書いた時期は不明ですが20歳になっているかいないかという年齢です。

最近の若手作家の作品を手に取ることが皆無なので比較はできませんが、20歳になっているかいないかでこんな作品を書けるということへの衝撃があらためて読むと大きかったですね。

 

本編について

葉桜の日』の主人公は19歳のジョージ、物心がつくかつかないかの頃にレストランを経営する女性(志賀さん)の養子となったジョージを中心に書かれています。

ジョージの本名は志賀賢佑(まさひろ)なので日本国籍です(笑)

作品の舞台となるのは東京都内と川崎市、ジョージが養子として迎え入れられたのは川崎市に住んでいた頃になります。

 

どんな内容かは読まないと解りません、上記内容だけで想像を膨らませてください。

 

『果実の花を船に流して』の主人公は20代前半のケンジ、幼くして実父、そして大学在学中に実母を亡くし、大学中退して1年間バックパッカー生活後に横浜の女装好きなママが経営するバーで働く日々が書かれています。

 

どんな内容かは読まないと解りません(笑)

 

ここで小学生のダメな感想文のように内容びっしり書いた方が解り易いとは思いますけど『20歳になっているかいないかでこんな作品を書けるということへの衝撃』はそこそこ読まないと解らないと思います。

 

初めて読んだ社会というものに無知であった20代前半の頃でさえ凄いなと感じたものでしたが、歳を重ねてより社会というものが解ってきた今改めて読むと『鷺沢萠』の凄さを再認識します。

 

出版業界とは無縁だし編集者の仕事とはなんぞやと言われても解らないけど、初めて『鷺沢萠』の作品を目にした編集者はとんでもない宝石を見つけたと胸躍らせたんじゃないかと思えてなりません。

 

出版業界の知識としては先日投稿した映画『騙し絵の牙』を観て得たていどです(笑)

www.sugarless-time.com

きっと編集者『高野恵:松岡茉優』さんなら狂喜乱舞すること間違いなしです。

 

読み手としては『20歳になっているかいないか』という年齢でこれだけのものを書けるという『年齢の割には』というバイアスがかかってしまいがちで、人によっては『20歳になっているかいないか』でこれだけの作品を書いてしまった『鷺沢萠』の将来をネガティブにとらえてしまうこともあるような気もするが、そういう見方をする人よりも、これだけの作品を書いてしまう『鷺沢萠』が30代、40代、50代でどうなっちゃうんだろうという期待を抱く人が大多数を占めていた気がしてなりません。

 

それだけに前述したように40代を迎えることもなく35歳という若さで亡くなったしまったことは改めて『鷺沢萠』作品を読むとより強く感じました。

 

私のレビューとはいえない内容ではさっぱり解らんから、もうちょっと情報欲しい方はネタバレレビューにぶつからないように以下を参考にしてもらえればと思います。

bookmeter.com

 

歳を重ねて再読した『葉桜の日』で興奮冷めやりません。

本を読む機会は減っていますが『鷺沢萠』作品を改めて読破していきたいと思った次第です。

 

といったもののエッセイを除いてもそこそこ書籍化されており、あらためて見ると三分の一ていどしか読んでいませんでしたけど(汗)楽しみが増えました。

 

鷺沢萠』作品を読んでいない方はとりあえず1990年前後のノスタルジーも体験できる『葉桜の日』おすすめです。

葉桜の日(新潮文庫)

葉桜の日(新潮文庫)

 

 

書籍化したエッセイを除く作品は以下の通り。

  • 少年たちの終わらない夜
  • 帰れぬ人びと
  • 海の鳥・空の魚
  • スタイリッシュ・キッズ
  • 葉桜の日
  • 愛してる
  • 駆ける少年
  • ハング・ルース
  • 大統領のクリスマスツリー(映画化)
  • 奇跡の島
  • 夢を見ずにおやすみ
  • F 落第生(映画化 ※映画タイトル:F(エフ))
  • バイバイ
  • 君はこの国を好きか
  • 過ぐる川、烟る橋
  • さいはての二人
  • 失恋
  • 私の話
  • ウェルカム・ホーム!
  • ビューティフル・ネーム

タイトル見てるだけでワクワクしてきます(笑)

 

 

にほんブログ村 本ブログへにほんブログ村

にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へにほんブログ村

sugarless time - にほんブログ村