sugarless time

甘く切ない80年代、甘くない現在の興味のあること中心に綴ります。

神奈川県は本当にサッカー王国なのか?

 

出典:神奈川県内の市町村 - 神奈川県ホームページ

 

まだまだ寒い日が続きますが、2月17日(金)には2023年度のJ1リーグが開幕、しかも開幕戦は『横浜Fマリノス』vs『川崎フロンターレ』、そしてなぜか前年優勝チームの開幕戦がアウェイ。

www.jleague.jp

 

まぁまだまだ寒い金曜日の夜にホーム開催なんて営業サイドとしては罰ゲームみたいなもんなんで考えかた次第です(笑)

いずれにせよマリノスサポなんでアウェイであっても『横浜Fマリノス』vs『川崎フロンターレ』という記述です。

 

J1リーグ開幕戦が今回のテーマではないので本題にうつります。

 

読者登録している epokopoko  さんの以下の投稿が生粋の神奈川県民としては気になったので今回の投稿となった次第。

sportskansen.hatenablog.jp

 

2023年神奈川県に本拠を持つクラブはJ1リーグに4つ、J2リーグは不在ながら、J3リーグには2つといった状況、昔からサッカー王国と言われてきた静岡県にJ1リーグクラブ不在となった状況とは対照的です。

 

現在50代のわたしは『横浜』でもなく『鎌倉』でもなく「出身はどちらですか?」と聞かれれば「神奈川」と答える生粋の神奈川県民。

今ではサッカーネタを書くほどのサッカー好きですけど、子供の頃は野球少年。

中学でも野球部に入りましたが中1の夏休み前に辞めました。

理由は待ってる時間が耐えられなかったから・・・これは余計な話。

 

神奈川県も地域差があって私が育った自治体では当時中学でサッカー部がある学校はひとつもありません。

ジュニアのカテゴリに目を移すと、10以上あった小学校には必ず1つ以上の少年野球チームがあり、私が通った小学校なんぞはエリアが広かったこともあり、ひとつの小学校に5つもの少年野球チームがあったほどですが、当時サッカーチームは市内で1つだけでした。

今ではそんなことはありませんが、昔の名残は今も残っていて少年サッカーチームは小学校単位ではなく規模は大小ありますがほとんどがクラブチーム、これはあくまで私が生まれ育った自治体の話。

40年前の神奈川県全体のサッカー事情は解りませんが、育った環境もあり私のなかでは昔の神奈川県は野球王国。

 

前置きが長くなりましたが、タイトルとおり『神奈川県は本当にサッカー王国なのか?』

 

いつからサッカー王国のか?『全国高校サッカー選手権』出場校にヒントがあるように思い過去50年の出場校を調べてみました(ついでに『インターハイ』も)。

  年度  選手権 インターハイ
2022 日大藤沢 湘南工科大付 日大藤沢
2021 桐光学園 東海大相模 相洋
2020 桐蔭学園 中止
2019 日大藤沢 桐光学園 東海大相模
2018 桐光学園 三浦学苑 桐光学園
2017 桐蔭学園 東海大相模 日大藤沢
2016 桐光学園 横浜創英 慶応義塾
2015 桐光学園 桐光学園 日大藤沢
2014 日大藤沢 麻布大付 向上
2013 桐光学園 麻布大淵野辺 横浜創英
2012 桐光学園 桐光学園 三浦学苑
2011 桐光学園 座間 桐蔭学園
2010 座間 桐光学園 日大
2009 武相 桐蔭学園 日大
2008 桐光学園 桐光学園 麻布大淵野辺
2007 日大藤沢 桐光学園 日大藤沢
2006 桐光学園 桐蔭学園 武相
2005 麻布大淵野辺 栄西 桐蔭学園
2004 麻布大淵野辺 桐光学園 座間
2003 桐蔭学園 桐光学園 厚木北
2002 桐蔭学園 武相 桐光学園
2001 桐蔭学園 桐蔭学園 逗葉
2000 桐蔭学園 桐蔭学園 桐光学園
1999 日大藤沢 日大藤沢 逗葉
1998 桐蔭学園 逗葉 桐蔭学園
1997 逗葉 桐蔭学園 茅ヶ崎北陵
1996 桐光学園 綾瀬西 桐光学園
1995 桐光学園 日大 茅ヶ崎北陵
1994 向上 日大藤沢 桐光学園
1993 桐光学園 桐蔭学園 藤沢西
1992 桐蔭学園 七里ヶ浜 桐光学園
1991 桐蔭学園 相模原
1990 日大藤沢 市立南
1989 桐蔭学園 桐蔭学園 向上
1988 湘南 向上
1987 日大藤沢 相模工大付
1986 日大藤沢 藤沢西 向上
1985 鎌倉 鎌倉
1984 藤沢西 日大藤沢
1983 鎌倉 鎌倉
1982 藤沢西
1981 相模工大付 日大
1980 相模工大付 小田原
1979 鎌倉
1978 相模工大付
1977 日大
1976 相模工大付 厚木
1975 日大 相模工大付
1974 相模工大付 相模工大付
1973 相模工大付 相模工大付

※水色網掛が公立高校、黄緑網掛が私立高校

 

上の表を見れば解ると思いますが、1970年代前半はほぼ『相模工大付(現:湘南工科大付)』の時代、日本人初のプロサッカー選手である『奥寺康彦』さんが同校の1970年卒業生であるように当時は神奈川県下では常勝軍団だったようです。

その当時のことはまったく知りませんけど、1970年代後半から1980年代は公立高校が軒並み全国大会への切符を手にしています。

サッカー部じゃありませんけど友人の多くがサッカー部だったこともありリアルタイムで見聞きしていた神奈川県下の高校サッカー強豪といえば『神奈川県立旭高校』、同世代では後に『浦和レッズ』にも在籍し、現在スポーツキャスターの『水内猛』さんがいます。

現役選手でも『横浜Fマリノス』のGK『高丘陽平』選手や『ヴィッセル神戸』のMF『木康也』選手が卒業生ですが二人ともJユース出身なので、『神奈川県立旭高校』のサッカー部には籍を置いてはいないはずです。

ちょっと話はそれましたが、表にあるように1970年代後半から1980年代は公立高校が優勢だったことが解ると思います。

1990年代に入ると徐々に私立高校が力をつけ21世紀に入ると冬の選手権で公立高校が全国に駒を進めたのは2010年の『神奈川県立座間高校』のみです。

ちなみにこの『神奈川県立座間高校』ですが我が家の長男の高校進学(中学3年)時にオープンスクールに行き、在学中のサッカー部の子に話しを聞いたのですが、当時サッカー部は9軍までありました。

全国には行けないまでも強豪公立高校でもこんな状態なのですからサッカー王国なのかもしれません。

 

また話を戻して1990年代になると私立高校が優勢どころか公立高校を圧倒するようになるのですが、ちょっとサッカーに詳しい人、リアルタイムで同時代を知っている人なら察しがつくと思うのですが・・・1993年にJリーグが開幕します。

 

Jリーグ開幕は1993年ですが構想が立ち上がったのが1988年、『桐蔭学園』が後に『ヴェルディ』でも監督として指揮した『李国秀』監督の下、全国大会初出場したのが1989年、この時の主将が現『アビスパ福岡』監督の『長谷部茂利』さん、ここから『桐蔭学園』は多くのJリーガーを輩出していきます。

桐蔭学園』に続けとばかりに『桐光学園』もサッカーに力を注ぎ、1992年に『インターハイ』で全国初出場、翌1993年には『高校サッカー選手権』、1994年、1995年は『中村俊輔』さんが全国でも注目を集めました。

 

これはあくまで私の想像ですけど、Jリーグ開幕する前も『高校サッカー選手権』というのはメディアもそこそこ取り上げるコンテンツでしたが、プロ化にともない全国放送ということもあり神奈川県内の私立高校もこぞってサッカーに力を入れ始めたという流れだと思っています。

 

ここもちょっとそれますが、近年は選手権どころか『インターハイ』にも公立高校は出場できてませんが、Jリーグ開幕以降も21世紀初めまでは公立高校は『インターハイ』には出場できてます。

これって神奈川県に限った話ではなく、私立高校は全国放送のある『高校サッカー選手権』には力を注ぐけど、メディアもたいして取り上げないインターハイを軽視するというのがよく解る感じです。

 

ここまで長々と書いても神奈川県がサッカー王国という理由には結びついていませんし、神奈川県の高校サッカーの今昔を話しただけです(笑)

 

ここからが『神奈川県は本当にサッカー王国?』の核心です。

冒頭に書いたように2023年はJ1に4クラブと大所帯となっていますが、Jリーグ開幕時は『横浜マリノス』、『横浜フリューゲルス』の2クラブのみ、翌1994年には『ベルマーレ平塚(現湘南ベルマーレ)』が加入、1998年のリーグ戦を最後に『横浜フリューゲルス』が消滅するも、1999年には『川崎フロンターレ』が加入、2001年には『横浜FC』が加入、2023年にJ1リーグで戦う4クラブはJリーグ開幕から10年で出そろっています。

 

そもそも神奈川県に前述したサッカークラブが多く存在するのは、神奈川県がサッカー王国というわけではなく、各チームの前身となる実業団チームが神奈川にあったからというだけです。

 

Jリーグ開幕時に『日産自動車横浜市)』、『全日空横浜市)』といったJSLに所属し神奈川県内に拠点を置く元はといえば実業団チームが参入したに過ぎません。

ヴェルディ川崎(当時)は実業団チームでもなく、止む無くホームを川崎にしただけですし、結局仮住まいだったので、ちょっと違います)

その後に参入したベルマーレ湘南『フジタ工業(練習グラウンドが平塚市)』、川崎フロンターレ富士通川崎市)』といった具合です。

ついでに言えば川崎市に本拠を置く『東芝川崎市)』はJリーグへの参入を見送り、数年後に北海道にて『コンサドーレ札幌』誕生となっています。

 

また、ちょっと余談ですけど歴史に『もし』はないってほど昔じゃないですけど、もし『ヴェルディ』が本拠地を『東京』でスタートできたら、『東芝』は『川崎XXXX』でJリーグに参加していたような気がするんですよね(21世紀に入ってから『東芝』本体に色々ありすぎですけど(当時はそこまで経営状態悪くないですし(私自身その頃は『東芝』のグループ企業に勤めていたし、勤務地も川崎なんで肌で感じる『東芝』は元気でした))、『東芝』が初年度からJリーグに参入したら、『全日空』は枠からはみ出した気がします。そうなると『横浜フリューゲルス』の悲劇もなかったし、『東芝』が参入していれば『川崎フロンターレ』も誕生しなかったかもしれません。

 

寄り道し過ぎですが、前述したように強豪実業団チームの多くが神奈川県内にあって、それがJリーグに駒を進めたというだけで、神奈川県はサッカー王国ではないんです。

 

それを証明するデータ『日本サッカー協会(JFA)』にあります。

www.jfa.jp

上記JFA2021年のサッカー選手登録数データをランキング形式にしたのが以下になります(TOP10などといわず差別なく47都道府県を掲載)。

順位 都道府県 登録者数 順位 都道府県 登録者数 順位 都道府県 登録者数
1 東京 86,498 17 宮城 14,224 33 石川 8,366
2 埼玉 52,534 18 長野 13,817 34 佐賀 8,354
3 神奈川 45,426 19 群馬 13,784 35 香川 7,923
4 愛知 43,147 20 岐阜 13,424 36 山形 7,888
5 兵庫 40,343 21 岡山 13,025 37 山梨 7,810
6 千葉 39,792 22 新潟 12,803 38 富山 7,396
7 大阪 37,683 23 三重 11,884 39 岩手 7,375
8 静岡 36,345 24 沖縄 11,810 40 青森 7,143
9 北海道 34,480 25 長崎 11,282 41 福井 5,977
10 福岡 25,080 26 滋賀 10,412 42 徳島 5,928
11 茨城 23,172 27 大分 10,338 43 島根 5,727
12 京都 18,034 28 福島 9,980 44 高知 5,342
13 広島 16,444 29 愛媛 9,927 45 和歌山 5,205
14 熊本 15,342 30 山口 9,525 46 鳥取 5,083
15 栃木 14,642 31 宮崎 8,957 47 秋田 4,224
16 鹿児島 14,317 32 奈良 8,694

 

人口から考えれば神奈川県が2位だと思っていましたが3位、しかもその数は東京都の1/2ていど、大阪府はなんとなく解るような気がしますけど、兵庫県がけっこう多いし、なんだかんだいって静岡県も多いです。

 

あくまで登録者数という話ですし、私も以前草サッカーチームに所属しており毎週のように活動していましたが、登録はしていません。

ですから登録まではしなくてもプレイしている人の数はもっと多いと思いますが、全都道府県比較をするうえでは参考になると思います。

 

なお、登録者数は第1種、第2種、第3種、第4種、女子の合計でシニアは含まれていません。

簡単に説明すると以下の通り。

  • 第1種:年齢制限なし(専門学校生、大学生、社会人、プロなど)
  • 第2種:18歳未満(高等学校在学であれば年齢制限除外)
  • 第3種:15歳未満(中学校在学であれば年齢制限除外)
  • 第4種:12歳未満(小学校在学であれば年齢制限除外)
  • 女子:年齢制限のない女子
  • シニア:40歳以上

登録種別については以下などをご確認ください。

ja.wikipedia.org

 

上記で表にしたサッカー協会登録者数(シニアを含まず)を総務省が令和4年(西暦2022年)1月に発表した住民基本台帳に基づく都道府県別人口で都道府県別のサッカー協会登録者数割合を計算すると以下になります。

順位 都道府県 登録者率 順位 都道府県 登録者率 順位 都道府県 登録者率
1 佐賀 1.029% 17 栃木 0.754% 33 奈良 0.651%
2 静岡 0.993% 18 山形 0.746% 34 千葉 0.631%
3 山梨 0.957% 19 石川 0.744% 35 宮城 0.627%
4 鳥取 0.921% 20 愛媛 0.740% 36 東京 0.627%
5 大分 0.914% 21 滋賀 0.736% 37 岩手 0.611%
6 鹿児島 0.892% 22 兵庫 0.735% 38 広島 0.590%
7 熊本 0.878% 23 京都 0.718% 39 新潟 0.585%
8 島根 0.859% 24 富山 0.713% 40 青森 0.575%
9 長崎 0.855% 25 埼玉 0.711% 41 愛知 0.573%
10 宮崎 0.831% 26 山口 0.711% 42 和歌山 0.557%
11 香川 0.821% 27 群馬 0.709% 43 福島 0.542%
12 徳島 0.816% 28 岡山 0.693% 44 神奈川 0.493%
13 茨城 0.802% 29 岐阜 0.672% 45 福岡 0.491%
14 沖縄 0.795% 30 長野 0.672% 46 秋田 0.441%
15 福井 0.779% 31 三重 0.666% 47 大阪 0.428%
16 高知 0.770% 32 北海道 0.665%

なんと神奈川県は44位、最下位は大阪府、登録者数で4位だった愛知県も41位となっています。

そしてトップこそ佐賀県となりましたが、静岡県は堂々の2位です。

 

この数値を見ると、2023年度こそJ1リーグ所属クラブはありませんが、なんだかんだいってサッカー王国は静岡なんだなと思えますね。

 

そして前述したように神奈川県はJリーグクラブの母体となった実業団チームが多くあったというだけで、やっぱサッカー王国ではないんだとしみじみと思う次第です。

かといって私の生まれ育った自治体は昔こそ野球王国といっていい具合でしたが、今は変わっていますし、週末に車の中から見る小学校のグラウンドでは野球よりサッカーをやってる少年達の多さのほうが目につきます。

 

Jリーグクラブが多いということは、その下部組織という裾野が広がりますし、下部組織のセレクションに漏れた選手の受け皿になるようなクラブ、さらに地元に根差したクラブとJリーグが開幕してから神奈川県内にはサッカークラブは確実に増えていることは間違いありません。

 

このようにJリーグがもたらした下部組織というものの枝葉が本文途中にある高校サッカー事情にもつながってますし(全国への切符を手にするのは私立高校ばかりだが、強豪公立高校にも選手は流れている)、そしてこれらはトップカテゴリーであるJリーグにも繋がっています。

 

ここではJリーグとしましたが、『横浜Fマリノス』の前身である『日産自動車サッカー部』時代、Jリーグ構想がスタートする以前の1985年には横浜市新子安に『日産サッカースクール』を開校、1986年には横須賀市追浜でも開校、翌1987年にも横浜市左近山(1990年閉校)と神奈川県内のサッカー発展に一役も二役も貢献していることをマリノスサポとして付け加えておきたい、

 

登録者数で言えば前述の表の通りでサッカー王国とは言い難いのですが、Jリーグクラブが多くあることで、育成年代からそれぞれに刺激し合いながら、神奈川県内全体のサッカーレベルは王国と言うに相応しい体系が出来上がっているように思えた次第です。

 

冒頭の epokopoko  さんのリンク『スポーツ熱は・・・』

本エントリーではサッカーにフォーカスを当て他の競技には言及しませんでしたが、神奈川県内にはプロ化しているものもしていないものも昔から様々な競技で実業団チームが多かったことも大きな要因なような気がしています。

 

調べ足りないことも多く、それに比例して書き足りないことも多いんですが、疲れたのでここまでにします。

 

いずれリライトしたいと思います。

 

以上、お疲れ様でした。

 

 

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