出典:映画『燃えよ剣』 (@moeyoken_movie) | Twitter
待ちわびること15カ月、映画『燃えよ剣』を観てきました。
関ケ原
その前に、主演『岡田准一』、監督『原田眞人』、原作『司馬遼太郎』の組み合わせで苦い記憶があります。
それは2017年に公開された映画『関ケ原』、勝者の歴史観により今まで『石田三成』が主人公という映像作品はなかなか巡り合ったこともなく、不器用ながら義を重んじるばかりに散っていった『石田三成』という人物が好きだったこともあり、期待を膨らませたのだが個人的には大いに外れでした。
まずは『岡田准一』を含めキャスティングが演者のプロモーション延長戦上にあるのがバレバレで、それによって脚本も編集も『関ケ原』という映画を作るというよりも、『関ケ原』という舞台を借りた長めのプロモーションビデオと揶揄されても仕方ないものだったから。
『関ケ原の合戦』へ至るプロセスに興味がなければ、お金をかけているので観るに値するのかもしれません。
『司馬遼太郎』作品以外にも『関ケ原』を題材とした作品、『石田三成』を題材とした作品を数多読んできた私からすると、120分程度(実際は149分)の映像に収めるには無理があるのは解るのだけど、限られた尺で『石田三成』の魅力を引き出すべきところを、他愛もないことに尺をとったことによっていろんな意味で主役が『石田三成』ではなく『岡田准一』になってしまっている残念な作品でした。
Yahoo!映画の評価リンクだけ貼っておきます。
土方歳三と燃えよ剣
映画『燃えよ剣』についての前に『土方歳三』も『燃えよ剣』も知らない方はウィキペデイアでちょっとだけ予備知識を注入しましょう(笑)
興行成績
前述のような苦い思いがあるものの、敗者好き、司馬遼太郎好き、新選組好きなうえに、キャスティングも『関ケ原』よりは骨太感があるのですが、どうでしょう?
まずはここまでの興行成績から。
公開週から2週連続で週間ランキングでは1位。
10月最終末(10/30~31)ランキングでは6位まで順位を落としてますので週間ランキング3週連続1位は難しい状況、興行収入的には最終的に酷評した『関ケ原』の24億円前後になると思われます。
サイトレビュー
※レビュー数、評価は11月4日時点になります。
Filmarks
レビュー数:4,771件
評価:3.7
Yahoo!映画
レビュー数:1,158件
評価:3.58
映画.com
レビュー数:264件
評価:3.5
レビュー
作品
あっという間の160分でした。
でも今までにない違和感、あっという間の160分なのにまったくもって充実感がない。
そう『関ケ原』ほどじゃないけど160分じゃ全然足りない、映画を観ながら自分の中にある『明治維新』、『新選組』、『土方歳三』の歩みを時系列で辿り続けていた。
ここでこんなに尺を取ったら、あの逸話、あの歴史事象どうするのか、そんなことばかりを考え続けていたら160分の映画があっという間に終わってしまった。
ナレーションで飛ばしたり、ナレーションすら入らなかったり、160分じゃ全然足りない、それでも『関ケ原』ほど残念な気持ちにならなかったのは『明治維新』、『新選組』、『土方歳三』といった時代の熱さを出演者が表現してくれたからのような気がする。
主要各社のレビューは思ったほど悪くはなく、『明治維新』、『新選組』、『土方歳三』についての予備知識がなければないほど、物語を『土方歳三(新選組)』目線で見た『明治維新』ダイジェスト版ととらえ、多数あった殺陣シーンや函館戦争シーン、そして出演者の熱い演技は評価すれば合点がいく評価とも言えるんですけど、『関ケ原』が低評価だったのはテーマの認知度の差も大きく影響しているようにも思えます。
予備知識がある人からしたら色々と足りない、最低でも『池田屋事件』までの前編、『函館戦争』までの後編くらいの構成が必要不可欠で、160分という尺も編集しまくっての時間だろうから、そもそも脚本も相当足らない内容だった気がします。
映画全体を5点満点で評価すると出演者に助けられての★★★3つ、予備知識あるなしに関係なく時間があったら映画館に足を運んで欲しい作品、時間がなかったら時間のやりくりまでして他のことを犠牲にしてもとなると違うかな。
出演者
公開前から気になっていた演者、見終わって気になった演者を5点満点で評価と本当に手短にコメント
公開前から気になっていた演者はこちら
岡田准一:土方歳三
★★★:良かったんですけど、やっぱ『岡田准一』というキャラが前に出てました。殺陣とかは凄いんですけど、そこも元々出来るイメージがあるので。
鈴木亮平:近藤勇
★★:熱い演技をする時の『鈴木亮平』を見てるだけでした。
伊藤英明:芹沢鴨
★★★★:『芹沢鴨』の傍若無人振りなイメージを見事に演じ映像化、圧倒的な存在感でした。
山田涼介:沖田総司
★★★★:ジャニーズゴリ押し配役と思っていて期待していなかったのですが、多くの人がイメージする『沖田総司』を爽やかに儚く演じてます。
新選組隊士の中では一番印象に残りました。
村上虹郎:岡田以蔵
★★:私的には『村上虹郎』と『岡田以蔵』のキャラにシンクロする部分があり大いに期待していたのですが、出演シーンも短く『岡田以蔵』のキャラも立つことなく演者には残念な役回りでした。
見終わって気になった演者はこちら
柴咲コウ:お雪
★★:『関ケ原』で『有村架純』が演じた『初芽』よりは違和感もなく物語のアクセントとして『柴咲コウ』の存在感は必要以上にありました。ただ160分という時間を考えると必要以上です。
山田裕貴:徳川慶喜
★★:『東京リベンジャーズ』で『龍宮寺堅』役を好演した印象が残るなか、演じた『徳川慶喜』は大河ドラマ『晴天を衝け』では『草彅剛』が演じ好評ですが、こちらは駄目なほうの『徳川慶喜』、しかも現代に例えるとパワハラ課長みたいな『徳川慶喜』だったので演じる方は貧乏くじみたいな感じ『山田裕貴』に責任はないです。
金田哲:藤堂平助
★★★:なかなかテレビで見ることは少なくなりましたが、前に『アシガール』に出演されていて好演されていたのが印象的だったのですが、こちらでも『藤堂平助』のイメージを壊すことなく好演されてました。
村本大輔:山崎烝
★★★:最近ではネットニュースで炎上騒動くらいでしか名前を聞きませんが、映画全体のアクセントにもなっていて良かったですよ、俳優『村本大輔』はまた見てみたいと思いました。
尾上右近:松平容保
★★★★★:出演シーンはそれほど長くないのですが、私的にはこの映画で一番印象に残ったのは『松平容保』であり、それを演じた『尾上右近』。
それゆえに『土方歳三』は『会津戦争』には深くは関わっていないのだけど、同シーンが短かったのも残念、改めて2013年大河ドラマ『八重の桜』を見たくなりました。
まとめ
前述したように『明治維新』、『新選組』、『土方歳三』、そして小説『燃えよ剣』を読んでいる人には物足りなさを相当感じるが、豪華キャスト、演者の熱い演技から時代の熱さを感じれる作品だと思います。
見終わった後に小説『燃えよ剣』を読んでない人も、読んだ人も時代の熱さを感じてみてはいかがでしょうか、だって、たった150年前の日本の話なんですよ。