sugarless time

甘く切ない80年代、甘くない現在の興味のあること中心に綴ります。

森保監督擁護というかこれからのサッカー日本代表監督について思うこと

2020Jリーグが始まって、開幕戦で勝点2を取り損ねた我らが横浜Fマリノスについても書きたいところですが、今さら日本代表についてです(汗)

 

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出典:JFA|公益財団法人日本サッカー協会

 

2022年ワールドカップアジア最終予選アウェイでのオマーン戦を辛勝してほとんどのメディアが首の皮が繋がったとする森保サッカー日本代表監督。

 

森保監督を擁護するつもりはないけれど、多くのメディアも識者もこぞって批判を繰り返すことに違和感がある。

 

年が明けてホームでの正念場サウジアラビア戦に勝利するも、オマーン戦前後よりは大人しくなったものの手の平を返すというところまでには至っていない。

ヤフコメなんぞは相変わらずの森保監督批判で溢れ、その多くは森保監督の戦術に関するもの、川崎フロンターレの「鬼木監督」に交代しろとか、元横浜Fマリノス、現在スコットランドセルティックで指揮をとる「ポステコグルー」にしろとか匿名とはいえ恥ずかしくないのかと失笑してしまう。

 

私個人としては森保監督の選手交代を含めたマネジメントには不満はあるものの戦術云々について批判する気にはまったくなれない。

 

そもそも戦術とは何?身近なのところでいうと横浜Fマリノスのハイプレス、ハイライン、偽サイドバックとかが比較的に解り易いと思う。

前述した3つのワードを実現するためには、それに適したパーソナリティが必要であり、その上で選手間の約束事、フィールド全体の約束事、それらのことを選手の頭、選手の体に浸み込ませていく。

今でこそマリノスはこの戦術をものにした感があるが、ポステコグルーがマリノスに持ち込んだのが2018年、持ち込んだ初年度のマリノスのJ1リーグ順位は18チーム中の12位で、戦い方も不安定で特にハイラインの裏を取られての失点が多く、それもプロとは思えない目も当てられない形での失点ばかりで、この戦術で良いのかと懐疑的になるばかりだった。

そして迎えた2019年は前年の戦術が昇華した1年、Jリーグでは近年観たことがないような攻撃的で魅力的なサッカーで久しぶりのJ1リーグ王者となったのは周知のことと思う。

何を言いたいかというと戦術をものにするには時間が必要だということ。

 

鬼木監督が指揮する川崎フロンターレにしても前任者の『風間八宏』監督の2012年からの積み重ねであって、戦術を浸透させるということはサッカーゲームの世界とは違う。

 

クラブチームでは雑に見積もっても1年の3分の2は練習、試合を繰り返しで長い時間を共有していく。

 

代表チームはそんなに長い時間を共有することはない。

これは日本代表に限ったことではなくて多くの国々がそういう状態にある。

例外があるとするならば主要選手が国内所属で固められ国をあげての強化を行える場合、近いところで言えば2022年ワールドカップアジア最終予選初戦で辛酸を舐めたオマーンなど中東の国々は今でもそういう強化が可能なことを知っておく必要がある。

 

昔から長い時間を共有できなかったわけではない、解り易いところでいうと1994年ワールドカップアメリカ大会、1998年ワールドカップ・フランス大会、2000年シドニー五輪、2002年ワールドカップ・日韓大会までは代表選手も国内所属選手が多く、『ハンス・オフト』、『加茂周』、『フィリップ・トルシエ』などが戦術を落とし込むだけの時間があったと思う。

 

2002年以降は主力選手の多くが国外に活躍の場を求めるようになる。

レベルは違えど日本代表も南米の列強、ブラジルやアルゼンチンと同じような状況になっていっていることを認識する必要がある。

 

過去を振り返ってみてもブラジルやアルゼンチンに解り易いところでいうとオランダのトータル・フットボールやイタリアのカテナチオといったようなものがあったかというと否だ。

 

日本はというとブラジルやアルゼンチンと同じ状況にあるとはいったものの、『フィリップ・トルシエ』は置いといてサッカー日本代表の戦術創成期と言い換えてもいい『ハンス・オフト』、『加茂周』が植え付けたものが今のサッカー日本代表のベースであり、その後は代表監督交代を繰り返しながら、その時点での代表監督の個性が加えられてきたに過ぎないと思っている。

 

その個性が今でも色濃く残っているのは『イビチャ・オシム』までで、それ以降は短期的な戦術変更を除けば大きな変化はないと感じているし、代表選手が国外に活躍の場を移すに至って日本代表監督に求められる役割も大きく変わってきているはず。

 

ここで1998年フランス・ワールドカップから2018年ロシア・ワールドカップまでのワールドカップ登録メンバーが以下になります。

 

選手名 ポジション 所属クラブ
1998 小島伸幸 GK ベルマーレ平塚
川口能活 GK 横浜マリノス
楢崎正剛 GK 横浜フリューゲルス
名良橋晃 DF 鹿島アントラーズ 
相馬直樹 DF 鹿島アントラーズ
井原正巳 DF 横浜マリノス
小村徳男 DF 横浜マリノス
斉藤俊秀 DF 清水エスパルス
秋田豊 DF 鹿島アントラーズ
中西永輔 DF ジェフユナイテッド市原
山口素弘 MF 横浜フリューゲルス
伊東輝悦 MF 清水エスパルス
中田英寿 MF ベルマーレ平塚
名波浩 MF ジュビロ磐田
小野伸二 MF 浦和レッドダイヤモンズ
服部年宏 MF ジュビロ磐田
森島寛晃 MF セレッソ大阪
平野孝 MF 名古屋グランパスエイト
中山雅史 FW ジュビロ磐田
呂比須ワグナー FW ベルマーレ平塚
岡野雅行 FW 浦和レッドダイヤモンズ
城彰二 FW 横浜マリノス

 

選手名 ポジション 所属クラブ
2002 川口能活 GK ポーツマス
楢崎正剛 GK 名古屋グランパスエイト
曽ヶ端準 GK 鹿島アントラーズ
秋田豊 DF 鹿島アントラーズ
松田直樹 DF 横浜F・マリノス
森岡隆三 DF 清水エスパルス
中田浩二 DF 鹿島アントラーズ
宮本恒靖 DF ガンバ大阪
稲本潤一 MF アーセナル
服部年宏 MF ジュビロ磐田
中田英寿 MF パルマ
森島寛晃 MF セレッソ大阪
三都主アレサンドロ MF 清水エスパルス
福西崇史 MF ジュビロ磐田
小野伸二 MF フェイエノールト
小笠原満男 MF 鹿島アントラーズ
明神智和 MF 柏レイソル
戸田和幸 MF 清水エスパルス
市川大祐 MF 清水エスパルス
西澤明訓 FW セレッソ大阪
中山雅史 FW ジュビロ磐田
鈴木隆行 FW 鹿島アントラーズ
柳沢敦 FW 鹿島アントラーズ

 

選手名 ポジション 所属クラブ
2006 楢崎正剛 GK 名古屋グランパスエイト
土肥洋一 GK FC東京
川口能活 GK ジュビロ磐田
茂庭照幸 DF FC東京
駒野友一 DF サンフレッチェ広島
坪井慶介 DF 浦和レッズ
宮本恒靖 DF ガンバ大阪
中田浩二 DF バーゼル
加地亮 DF ガンバ大阪
中澤佑二 DF 横浜F・マリノス
中田英寿 MF ボルトン
小笠原満男 MF 鹿島アントラーズ
中村俊輔 MF セルティック
遠藤保仁 MF ガンバ大阪
三都主アレサンドロ MF 浦和レッズ
福西崇史 MF ジュビロ磐田
稲本潤一 MF ウェスト・ブロムウィッチ
小野伸二 MF 浦和レッズ
高原直泰 FW ハンブルガーSV
巻誠一郎 FW ジェフユナイテッド千葉
柳沢敦 FW 鹿島アントラーズ
大黒将志 FW グルノーブル
玉田圭司 FW 名古屋グランパスエイト

 

選手名 ポジション 所属クラブ
2010 楢崎正剛 GK 名古屋グランパス
川島永嗣 GK 川崎フロンターレ
川口能活 GK ジュビロ磐田
駒野友一 DF ジュビロ磐田
田中マルクス闘莉王 DF 名古屋グランパス
長友佑都 DF FC東京
内田篤人 DF 鹿島アントラーズ
岩政大樹 DF 鹿島アントラーズ
今野泰幸 DF FC東京
中澤佑二 DF 横浜F・マリノス
阿部勇樹 MF 浦和レッズ
遠藤保仁 MF ガンバ大阪
松井大輔 MF グルノーブル
中村俊輔 MF 横浜F・マリノス
中村憲剛 MF 川崎フロンターレ
長谷部誠 MF ヴォルフスブルク
本田圭佑 MF CSKAモスクワ
稲本潤一 MF 川崎フロンターレ
玉田圭司 FW 名古屋グランパス
矢野貴章 FW アルビレックス新潟
岡崎慎司 FW 清水エスパルス
大久保嘉人 FW ヴィッセル神戸
森本貴幸 FW カターニア

 

選手名 ポジション 所属クラブ
2014 川島永嗣 GK スタンダール
西川周作 GK 浦和レッズ
権田修一 GK FC東京
内田篤人 DF シャルケ
酒井高徳 DF シュツットガルト
長友佑都 DF インテル
森重真人 DF FC東京
酒井宏樹 DF ハノーファー
吉田麻也 DF サウサンプトン
今野泰幸 DF ガンバ大阪
伊野波雅彦 DF ジュビロ磐田
遠藤保仁 MF ガンバ大阪
清武弘嗣 MF ニュルンベルク
青山敏弘 MF サンフレッチェ広島
山口蛍 MF セレッソ大阪
長谷部誠 MF ニュルンベルク
岡崎慎司 FW マインツ
香川真司 FW マンチェスターU
柿谷曜一朗 FW セレッソ大阪
大久保嘉人 FW 川崎フロンターレ
大迫勇也 FW TSV1860ミュンヘン
本田圭佑 FW ACミラン
齋藤学 FW 横浜F・マリノス

 

選手名 ポジション 所属クラブ
2018 川島永嗣 GK FCメス
東口順昭 GK ガンバ大阪
中村航輔 GK 柏レイソル
植田直通 DF 鹿島アントラーズ
昌子源 DF 鹿島アントラーズ
長友佑都 DF ガラタサライSK
遠藤航 DF 浦和レッドダイヤモンズ
酒井宏樹 DF オリンピック・マルセイユ
槙野智章 DF 浦和レッドダイヤモンズ
酒井高徳 DF ハンブルガーSV
吉田麻也 DF サウサンプトンFC
本田圭佑 MF CFパチューカ
柴崎岳 MF ヘタフェCF
原口元気 MF ハノーファー96
香川真司 MF ボルシア・ドルトムント
宇佐美貴史 MF フォルトゥナ・デュッセルドルフ
乾貴士 MF レアル・ベティス
山口蛍 MF セレッソ大阪
長谷部誠 MF アイントラハト・フランクフルト
大島僚太 MF 川崎フロンターレ
大迫勇也 FW ヴェルダー・ブレーメン
岡崎慎司 FW レスター・シティFC
武藤嘉紀 FW 1.FSVマインツ05

 

2022年は直近の招集メンバーで見てみる。

選手名 ポジション 所属クラブ
2022 川島 永嗣 GK RCストラスブール
権田 修一 GK 清水エスパルス
シュミット・ダニエル GK シントトロイデンVV
長友 佑都 DF FC東京
酒井 宏樹 DF 浦和レッズ
谷口 彰悟 DF 川崎フロンターレ
山根 視来 DF 川崎フロンターレ
植田 直通 DF ニーム・オリンピック
板倉 滉 DF シャルケ04
中山 雄太 DF PECズヴォレ
冨安 健洋 DF アーセナル
中谷 進之介 DF 名古屋グランパス
原口 元気 MF 1.FCウニオン・ベルリン
柴崎 岳 MF CDレガネス
遠藤 航 MF VfBシュツットガルト
守田 英正 MF CDサンタ・クララ
田中 碧 MF フォルトゥナ・デュッセルドルフ
堂安 律 MF PSVアイントホーフェン
久保 建英 MF RCDマジョルカ
伊東 純也 MF KRCヘンク
南野 拓実 MF リバプールFC
大迫 勇也 FW ヴィッセル神戸
浅野 拓磨 FW VfLボーフム
前田 大然 FW セルティック

24人中17人の所属クラブが国外、大迫、長友、酒井も1年前は国外クラブに所属していたのですからほぼ国外クラブ所属、レギュラー、準レギュラーで考えると国内クラブに所属していたらレギュラー、準レギュラーは厳しいといっても差し支えない。

 

登録選手数 国内所属 国外所属
1998 22 22 0
2002 23 19 4
2006 23 17 6
2010 23 19 4
2014 23 11 12
2018 23 9 14
2022 24 7 17

1998年~2022年をまとめたのが上記、2010年はちょっと意外な気がしますけど、メンバーの顔触れを見ると個人的には納得です。

また、このメンバー構成で2010年ワールドカップ南アフリカ大会で自国以外の開催で初めてグループリーグを突破できたのは、国内所属選手が多く現状を鑑みると大会直前でも戦術変更をしやすい状況であったことが見えてくる。

 

森保監督の選手交代を含めたマネジメントには不満はあるものの、大迫選手の代わりに古橋選手を先発させろとかいうのにも違和感がある。

 

前線でボールを収める選手がいて、他の選手の攻撃参加に時間を作るというやり方は大迫選手から始まったわけではない。

ハンス・オフトの時代からこのやり方は脈々と受け継がれてきてるし、いわばサッカー日本代表に染みついたやり方。

 

このやり方の良いところは攻撃参加できる選手を増やすことで分厚い攻撃が可能であること、いっぽう古橋選手は縦への抜け出しが特徴だから攻撃参加できる選手の数は必然的に少なくなるし、日本代表にはイニスエタはもちろんいない、それに代わる気の利いたパスを出す選手も不在だから古橋選手の良さを最大限に引き出すことは難しい、それにそればかりだと攻撃も単調で単発になるから、攻撃の選手だけではなく守備の選手も息を入れる暇もなく体力の消耗も激しくなり易い。

 

ただ単発であっても一撃必殺なのでハマることももちろんあるけど、そこは確率と選手疲労の天秤になるし、日本人はそんな確率の悪いものを選択しないはずなんだけど、批判の対象が森保監督となると違うようです。

 

生身の人間がするサッカーはサッカーゲームとは違うし、森保監督は日本人なのだから、日本人のメンタリティを考えれば、コンディションが多少悪くても古橋選手じゃなく大迫選手を起用するというのは日本と対戦する引き気味のアジア勢との真剣勝負では至極真っ当だし、相手も疲労してきた後半からスピードのある古橋選手、前田大然選手、浅野選手、三苫選手を投入するやり方は普通だけど、普通であっても対峙する側からしたら、とても嫌だしキツイというのはサッカー経験していれば解るし、経験していなくても想像できるはずなんだけど・・・

 

アジア勢相手に大迫選手を起用することは問題ない、だからといってワールドカップ本大会でも起用すべきかというと別の話になってくる。

本大会では日本代表相手にディフェンスラインを下げてくるわけではないから、古橋選手のような縦に抜き出せる選手が生きてくる。

本大会を視野に入れれば予選から大迫選手ではなく古橋選手という考え方も解らなくはないけど、前述した通り攻撃の厚みや選手疲労を考えると今のままで個人的にはいいと思う。

 

森保監督批判についても私見がある。

なんでもかんでも森保監督の責任にするのは違う気がする。

現在の日本代表選手の多くは海外で様々な国の選手と戦っているし、選手個々は過去と比べられないほどに日々レベルの高いところで経験を積んでいる。

 

森保監督どうのこうのではなく選手個々が各々の個性を引き出させるべく考えてプレイすべきで、森保監督(日本代表監督)はサポートするだけでいい時代に変わってきているんじゃないかと思う。

 

ただその変化に監督も選手もサポーターもそしてそれを伝えるメディアさえも戸惑っているような気がしている。

最近のメディアに関して言えば(それらで仕事するライターも含めて)大衆が喜びそうなものを浅くて陳腐なものばかりで、ネタにはなるけどためになるようなものを見かけない。


最後にサッカー日本代表監督の仕事というのは昔と違ってきていることを理解する必要がある。

 

それは日本人がやろうと外国人がやろうと変わらないし、外国人監督の野心や功名心によって壊されることのほうが危険だと思う。


だらだらと思うままに書いたので時間があったらリライトします(笑)

 

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