出典:高倉麻子なでしこジャパン新監督インタビュー Part 1 選手時代に得た世界へ通じる確信|JFA|公益財団法人日本サッカー協会
前回、高倉『なでしこジャパン』東京五輪振り返りと題して投稿しました。
www.sugarless-time.com
今回は高倉『なでしこジャパン』の全対戦成績を振り返ります。
以下が高倉監督が2016年に『なでしこジャパン』監督として就任以降の戦績一覧になります。
年月日 | 大会名 | 結果 | R1 | スコア | R2 | 対戦国 | H/A |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2016/6/2 | 国際親善試合 | 分 | 7 | 3-3 | 1 | アメリカ | A |
2016/6/5 | 国際親善試合 | 負 | 7 | 0-2 | 1 | アメリカ | A |
2016/7/21 | 国際親善試合 | 負 | 7 | 0-2 | 6 | スウェーデン | A |
2017/3/1 | アルガルベカップ | 負 | 7 | 1-2 | 14 | スペイン | A |
2017/3/3 | アルガルベカップ | 勝 | 7 | 2-0 | 20 | アイスランド | A |
2017/3/6 | アルガルベカップ | 勝 | 7 | 2-0 | 11 | ノルウェー | A |
2017/3/8 | アルガルベカップ | 負 | 7 | 2-3 | 12 | オランダ | A |
2017/4/9 | キリンチャレンジカップ | 勝 | 6 | 3-0 | 30 | コスタリカ | H |
2017/6/9 | 国際親善試合 | 勝 | 6 | 1-0 | 12 | オランダ | A |
2017/6/13 | 国際親善試合 | 分 | 6 | 1-1 | 23 | ベルギー | A |
2017/7/27 | Tournament of Nations | 分 | 6 | 1-1 | 8 | ブラジル | A |
2017/7/30 | Tournament of Nations | 負 | 6 | 2-4 | 7 | オーストラリア | A |
2017/8/3 | Tournament of Nations | 負 | 6 | 0-3 | 1 | アメリカ | A |
2017/10/22 | MS&ADカップ2017 | 勝 | 8 | 2-0 | 16 | スイス | H |
2017/11/24 | 国際親善試合 | 勝 | 8 | 2-0 | 50 | ヨルダン | A |
2017/12/8 | EAFF E-1 サッカー選手権 | 勝 | 8 | 3-2 | 15 | 韓国 | H |
2017/12/11 | EAFF E-1 サッカー選手権 | 勝 | 8 | 1-0 | 13 | 中国 | H |
2017/12/15 | EAFF E-1 サッカー選手権 | 負 | 9 | 0-2 | 11 | 北朝鮮 | H |
2018/2/28 | アルガルベカップ | 負 | 9 | 2-6 | 7 | オランダ | A |
2018/3/2 | アルガルベカップ | 勝 | 9 | 2-1 | 20 | アイスランド | A |
2018/3/5 | アルガルベカップ | 勝 | 9 | 2-0 | 12 | デンマーク | A |
2018/3/7 | アルガルベカップ | 負 | 9 | 0-2 | 5 | カナダ | A |
2018/4/1 | MS&ADカップ2018 | 勝 | 11 | 7-1 | 46 | ガーナ | H |
2018/4/7 | AFC女子アジアカップ | 勝 | 11 | 4-0 | 35 | ベトナム | A |
2018/4/10 | AFC女子アジアカップ | 分 | 11 | 0-0 | 16 | 韓国 | A |
2018/4/13 | AFC女子アジアカップ | 分 | 11 | 1-1 | 6 | オーストラリア | A |
2018/4/17 | AFC女子アジアカップ | 勝 | 11 | 3-1 | 17 | 中国 | A |
2018/4/20 | AFC女子アジアカップ | 勝 | 11 | 1-0 | 6 | オーストラリア | A |
2018/6/10 | 国際親善試合 | 勝 | 11 | 3-1 | 20 | ニュージーランド | A |
2018/7/26 | Tournament of Nations | 負 | 6 | 2-4 | 1 | アメリカ | A |
2018/7/29 | Tournament of Nations | 負 | 6 | 1-2 | 7 | ブラジル | A |
2018/8/2 | Tournament of Nations | 負 | 6 | 0-2 | 8 | オーストラリア | A |
2018/8/16 | アジア競技大会 | 勝 | 6 | 2-0 | 28 | タイ | A |
2018/8/21 | アジア競技大会 | 勝 | 6 | 7-0 | 37 | ベトナム | A |
2018/8/25 | アジア競技大会 | 勝 | 6 | 2-1 | 10 | 北朝鮮 | A |
2018/8/28 | アジア競技大会 | 勝 | 6 | 2-1 | 15 | 韓国 | A |
2018/8/31 | アジア競技大会 | 勝 | 6 | 1-0 | 17 | 中国 | A |
2018/11/11 | 国際親善試合 | 勝 | 7 | 4-1 | 13 | ノルウェー | H |
2019/2/27 | SheBelieves Cup | 分 | 7 | 2-2 | 1 | アメリカ | A |
2019/3/2 | SheBelieves Cup | 勝 | 7 | 3-1 | 8 | ブラジル | A |
2019/3/5 | SheBelieves Cup | 負 | 7 | 0-3 | 3 | イングランド | A |
2019/4/4 | 国際親善試合(EURO遠征) | 負 | 7 | 1-3 | 4 | フランス | A |
2019/4/9 | 国際親善試合(EURO遠征) | 分 | 7 | 2-2 | 2 | ドイツ | A |
2019/6/2 | 国際親善試合 | 分 | 7 | 1-1 | 13 | スペイン | A |
2019/6/10 | FIFA女子ワールドカップ | 分 | 7 | 0-0 | 37 | アルゼンチン | A |
2019/6/14 | FIFA女子ワールドカップ | 勝 | 7 | 2-1 | 20 | スコットランド | A |
2019/6/19 | FIFA女子ワールドカップ | 負 | 7 | 0-2 | 3 | イングランド | A |
2019/6/25 | FIFA女子ワールドカップ | 負 | 7 | 1-2 | 8 | オランダ | A |
2019/10/6 | 国際親善試合 | 勝 | 10 | 4-0 | 7 | カナダ | H |
2019/11/10 | MS&ADカップ2019 | 勝 | 10 | 2-0 | 55 | 南アフリカ | H |
2019/12/11 | EAFF E-1 サッカー選手権 | 勝 | 10 | 9-0 | 40 | 台湾 | A |
2019/12/14 | EAFF E-1 サッカー選手権 | 勝 | 10 | 3-0 | 15 | 中国 | A |
2019/12/17 | EAFF E-1 サッカー選手権 | 勝 | 10 | 1-0 | 20 | 韓国 | A |
2020/3/6 | SheBelieves Cup | 負 | 10 | 1-3 | 13 | スペイン | A |
2020/3/9 | SheBelieves Cup | 負 | 10 | 0-1 | 6 | イングランド | A |
2020/3/12 | SheBelieves Cup | 負 | 10 | 1-3 | 1 | アメリカ | A |
2021/4/8 | 国際親善試合 | 勝 | 10 | 7-0 | 48 | パラグアイ | H |
2021/4/11 | 国際親善試合 | 勝 | 10 | 7-0 | 60 | パナマ | H |
2021/6/10 | 国際親善試合 | 勝 | 11 | 8-0 | 26 | ウクライナ | H |
2021/6/13 | MS&ADカップ2021 | 勝 | 11 | 5-1 | 27 | メキシコ | H |
2021/7/14 | MS&ADカップ2021 | 勝 | 10 | 1-0 | 7 | オーストラリア | H |
2021/7/21 | 第32回オリンピック | 分 | 10 | 1-1 | 8 | カナダ | H |
2021/7/24 | 第32回オリンピック | 負 | 10 | 0-1 | 6 | イギリス | H |
2021/7/27 | 第32回オリンピック | 勝 | 10 | 1-0 | 37 | チリ | H |
2021/7/30 | 第32回オリンピック | 負 | 10 | 1-3 | 5 | スウェーデン | H |
※表[R1]は対戦時の日本FIFAランクキング順位
※表[R2]は対戦時の対戦国FIFAランキング順位
※表[H/A]はHは試合会場が日本国内、Aは日本国外
全戦績は34勝21敗10分、得点136、失点79となっています。
戦績を条件別に分けた内訳は以下の通り
対戦国地域別
* | 勝 | 負 | 分 | 得点 | 失点 |
---|---|---|---|---|---|
欧州 | 9 | 12 | 3 | 38 | 38 |
北米 | 1 | 5 | 3 | 13 | 20 |
中南米 | 6 | 1 | 2 | 28 | 5 |
アフリカ | 2 | 0 | 0 | 9 | 1 |
アジア | 16 | 3 | 2 | 48 | 15 |
欧州くくりでまとめると上記になりますが、女子サッカーじたい歴史が浅いこともあり、欧州でも国によって強化への力の入れ具合が違っています。
欧州勢との対戦を対戦時のFIFAランキングを比較してランク差別にしたのが以下の表になります。
* | 勝 | 負 | 分 | 得点 | 失点 |
---|---|---|---|---|---|
ランク差10以上 | 4 | 0 | 1 | 15 | 3 |
ランク差10未満 | 5 | 12 | 2 | 23 | 35 |
『なでしこジャパン』のランクはこの5年間は6位~11位で推移していますので、ランク的に近い欧州勢に劣勢だったのがよく解ると思います。
HOME/AWAY別
* | 勝 | 負 | 分 | 得点 | 失点 |
---|---|---|---|---|---|
HOME | 14 | 3 | 1 | 57 | 12 |
AWAY | 20 | 18 | 9 | 79 | 67 |
※日本国内の試合をHOME、それ以外をAWAY
FIFAランキング上位国/下位国別
* | 勝 | 負 | 分 | 得点 | 失点 |
---|---|---|---|---|---|
FIFAランク下位国 | 31 | 8 | 5 | 114 | 35 |
FIFAランク上位国 | 3 | 13 | 5 | 22 | 44 |
※対戦時FIFAランキングで上位/下位比較
日本のランクを起点に上位/下位比較なので2019年女子ワールドカップ、東京五輪の結果から妥当なものとなっています。
改めて全試合(強化)日程を見ていくと、決勝トーナメント初戦でオランダに敗れた2019年女子フランスワールドカップ が目標であったように見えてきます。
2019年女子ワールドカップ以降、本来2020年に開催されるはずだった東京五輪に向け新型コロナウイルスにより中止となった強化試合3試合は上記表から省いていますが、予定通り3試合を追加したとしても東京五輪目標の強化日程だったようには見えません。
2020年東京五輪を目標としていたとしても、本来の日程通りであればワールドカップから1年しか時間がないことを考慮すると、ワールドカップで高倉『なでしこジャパン』の骨組みは完成し、そこからブラッシュアップしたものが東京五輪であったようにしか思えますね。
ゆえに東京五輪が1年延期になったことは、強化試合を組めない状況、特に欧米列強と強化試合を組めない状況では『なでしこジャパン』にとってプラスになることはなかったのではないでしょうか。
また、全試合を見ていくと、所属しているAFC(アジアサッカー連盟)/EAFF(東アジアサッカー連盟)の関係上、アジア諸国との試合数が必然的に多くなるのいたしがたありませんが、自分が思ってたよりは欧州諸国、北米ともそこそこ試合を行っています。
本来ならもっと積極的に欧米列強と強化日程を組めればと思いますが、AFC/EAFFの日程に引っ張られていますね。
EAFFじたいはAFCにおいて西アジア諸国に比べて発言力が弱いなどの理由から発足されたものですが、男女ともに、とくに女子においては世界の勢力図を考える上では強化日程において足枷になっているようにしか思えません。
試合結果から見るとおり、『なでしこジャパン』の強化としてはさらに欧米勢との対戦を増やしていくしかないと思いますが、移動距離、遠征費用の問題もあります、もちろん相手があってのこと、それでも代表強化するには2019年女子ワールドカップ年に実施したヨーロッパ遠征などを今まで以上に増やしていかなければならないのではないかという気がします。
ちなみに東京五輪招集メンバーで欧州を主戦場にする選手は熊谷(FCバイエルン・ミュンヘン/ドイツ)、岩渕(アーセナル/イングランド)、長谷川(ウエストハム/イングランド)、林(AIKフットボール/スウェーデン)わずか4名にすぎません。
選手個々が欧州を主戦場とし、欧州で強化試合を設定出来るようになれば選手の移動による負荷、協会の遠征費用負担も減ります。
アメリカを主戦場としている東京五輪招集メンバー籾木(OLレインFC/アメリカ)、宝田(ワシントン・スピリット/アメリカ)にしても日本移動よりも欧州移動のほうが移動時間は少なくて済みますし、それは欧州組が北米に移動するのも同じです。
もちろん、黙っていても集客力がある男子と違うので、日本国内での女子サッカー普及のために悪い言い方をするなら顔見せ興行も必要不可欠なのですけど、『なでしこジャパン』強化のためには選手個々の海外挑戦がやっぱり近道だと感じます。
ワールドカップアジア予選/オリンピックアジア予選などは欧米で活躍する選手を主力とした『なでしこジャパンA』、上記主要大会予選ではないAFC/EAFF主催大会などは今秋スタートする『WEリーグ』選手を主力とする『なでしこジャパンB』といったふうになっていければ理想のように思えます。
結局、選手個々の海外挑戦に帰結してしまいました(汗)