sugarless time

甘く切ない80年代、甘くない現在の興味のあること中心に綴ります。

高倉『なでしこジャパン』東京五輪振り返り

 

写真は2016年4月27日『なでしこジャパン』監督就任時のものです。

f:id:sugarless_ice:20210807213324p:plain

出典:なでしこジャパン(日本女子代表)監督に高倉麻子氏が就任|JFA|公益財団法人日本サッカー協会

 

高倉『なでしこジャパン』の東京五輪が終了してから日も経過したので、既に色んな方々が様々なコンテンツでそれについて記事にしています。

読者登録していて楽しみに拝見しているIppo-sanも早々に記事にしているので、そちらを見たほうがいいかもしれませんけど、いちよ私も今更ながら考察です。

www.ippo-san.com

 

これを書いている時点で東京五輪は閉会式を終え、もちろん東京五輪サッカーは全日程を終え、メダルを期待された男子は3位決定戦でメキシコに敗れ4位、優勝はスペインを下したブラジルがオリンピック2大会連続優勝を飾り、女子はグループリーグで『なでしこジャパン』と引き分けたカナダが1-1からPK戦にもつれ込みスウェーデンを下し優勝しています。

 

グループリーグで引き分けたからといって『なでしこジャパン』を持ち上げるつもりはさらさらなくて、グループリーグはグループリーグ、普段サッカーを見ない人は男子の結果でよく解ったと思います。

 

まずは東京五輪の全4戦の感想についてですが、高倉監督の選手交代についても色々言われてますけど『なでしこジャパン』チームとしてはチリ戦を除き、それほど悪くなかったと思います。

それほど悪くなかったと言っても、現有戦力、現チームでの完成度の話であって、チームとして高倉監督のマネジメントを褒めているわけではありません。

準々決勝のスウェーデン戦はスコアこそ1-3でしたが、東京五輪の全4試合の中では一番良い戦いが出来たように感じています。

 

『フィジカルの差は埋めれない』というのが『なでしこジャパン』に限らず日本の全競技共通のことですが、スウェーデン戦は『フィジカルの差は埋めれない』けど、『埋めれなくても戦える』と感じました。

 

ここでいう『フィジカル』はあくまで体格を指していて、スウェーデン選手にとって慣れない高温多湿、そして過密日程の所為もあるのかもしれませんが、負けてたのは『フィジカル:体格』だけ、空中戦は敵うわけないんですけど、地上戦ではスウェーデン選手の1歩と日本人選手の1歩、歩幅の差が出たに過ぎないという印象。

歩幅の差というのは慣れでどうにかなる話なので、強化方法、選手個々の考えかた次第で埋めれるし、埋めれたものです。

 

今回なでしこジャパンの試合を観ているとSNSなどで、肝心な局面でのパスが相手の足に引っかかったり、まともにボールコントロールが出来ないとかファーストタッチが下手過ぎるとかなどのコメントを目にすることが多かったのですが、これは前述した歩幅の問題が大きく起因しているので、もう慣れるしかないと思います。

解る人は解ると思いますけど、解らない人のために雑に説明しときます。

f:id:sugarless_ice:20210808234626p:plain
上図の通りです。

Aは欧米チームとの国際試合、Bは常日頃プレイしている国内リーグでの試合を示していると考えてください。

選手1が選手2にパスを出す時にAとBを比較するとパスの角度に違いがありますし、選手2が動きながらパスを受ける時にBよりもAは移動距離が長くもなります。

選手1がパスを出す時に従来の感覚でパスを出すと、相手の足に当たるので従来より角度変える必要があり、従来通りの体に浸み込んだ感覚とは違うプレイが要求されます。

パスを受ける選手2は動きながらパスを受ける場合も従来より移動距離が長くなり、従来のイメージでパスを受けるタイミングで動き出したのでは従来のイメージ通りでパスを受けれるはずもなくファーストタッチでボールコントロール出来なくなり、従来よりボールタッチ回数が多くなりがちになります。

 

ある程度真剣にスポーツを経験したことがある人には解ると思いますが、体に浸み込んだ感覚というのは簡単に修正できるものではありません。

 

日本代表クラスになればこんなことは理解もしていますし意識はしていて臨機応変に対応出来るように思えるのですが、特にプレッシャーのかかる局面などでは観ている限りではアマチュアレベルよりも体に浸み込んだ感覚はより深いようです。

 

上にあげた例は攻撃面になりますが、守備面でも同じことが言えます。

 

スウェーデン戦で感じたのはまさにこの部分ですが、これは慣れでもあるので、今のようになでしこジャパンの選手が国内リーグを主戦場にするのではなく、積極的に海外リーグに挑戦することで地上戦では互角以上に戦えるようにも感じもしました。

但し、これはあくまで地上戦、空中戦では敵いませんけど(笑)

 

スウェーデン以外で対戦した欧米チーム、カナダ、イギリスはどうであったかというと、歩幅についてはスウェーデンと同様、それより問題として再認識したのは単純なスピード、それは第1戦のカナダ戦、第2戦のイギリス戦で随所に目にしました。

 

解り易く言い換えると『よ~いドン!』でスタートしたらまったく敵わないという印象、それはオフェンスでもディフェンスでも共通、とにかく1対1ではスピードでは勝てない、そんな場面を何度も目にしました。

 

サッカーは個人競技じゃないから、そこは組織で対応するという話になるんだけど、そこには前述した歩幅の話(距離感)が前提としてあるので、欧米勢と戦う際の距離感を選手個々が自らの感覚に落とし込んで、それをチームとして共有していく必要があるんじゃないでしょうか。

 

選手個々が距離感を自らの感覚に落とし込むには年に数回の国際試合で埋めることは困難、他のスポーツでも言えることですが試合よりも圧倒的に練習時間のほうが長いのですから、日本人同士で練習するより体格の違う欧米選手と練習するほうが効果的なのは誰もが想像つくと思います。

 

個々の技術的には進歩しているこそあれ退化しているとは感じていませんが、その技術の使い方が狭い世界に偏り過ぎていることが問題のように感じます。

 

2011年の『なでしこジャパン』は選手個々で他国リーグ経験者も豊富でしたし、当時の『なでしこリーグ』には海外からも有力選手が参加していました。

東京五輪の『なでしこジャパン』はというと選手個々では2011年メンバーと比較すると他国リーグ経験者が絶対的に不足していますし、昨年までの『なでしこリーグ』に有力外国人選手は皆無です。

 

選手個々が今以上に海外挑戦をしない限り、この差は埋めれないどころか広がるばかりではないでしょうか。

 

今回はスウェーデン戦で感じた歩幅にフォーカスを充ててみました。

歩幅は『フィジカルの差は埋めれない』の中のひとつの要因でしかないし、それ以外にも体幹(当たりの強さ)の差、キック力の差、身長差などなど戦う前から『なでしこジャパン』が背負わなければならないものはいくつもあります。

 

但し、欧米選手との『フィジカルの差』は今解ったことではありません。

 

高倉監督が東京五輪後のインタビューで語った「自分の計算とは違っていた」という言葉には絶句してしまいました。

 

5年ものあいだ高倉監督は何を計算していたんでしょうか?そして日本サッカー協会はその計算とやらを容認していたのでしょうか?

 

「ちょっと何言ってるか分からない」でした(笑)

 

 

にほんブログ村 サッカーブログへにほんブログ村

sugarless time - にほんブログ村