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甘く切ない80年代、甘くない現在の興味のあること中心に綴ります。

出生前診断(検査)の厚生労働省方針転換に思うこと・・・

 

www.sugarless-time.com

 

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出典:出生前診断ガイドブック - 新型出生前診断 NIPT Japan

 

先日投稿しました『久遠チョコレート』のなかで、我が家の次男に知的障害があることを述べました。

 

知的障害者を持つ親として、養護学校、福祉作業所、障害者コミュニティなどなど、一般の方々より『ダウン症』に関わる人達と身近に接したきたものとして今回の厚生労働省方針転換について思うことがあり、いつになく考えていつになく何度も書き直した真面目なお話ですけど、専門的な内容については本文内のリンクでご確認ください。

 

www.yomiuri.co.jp

 

我が子に障害があると分かったときはそれはそれでショックでした。

 

でも、それは遠い過去の話、障害を持ちながらも成長していく次男、それに関わる人々と社会。

 

次男がいたことにより今まで関わることのなかった世界や社会、そしてそれらに関わる人に出会うことができました。

 

障害者が家族にいなければ知らないままだったでしょう、多くの人がそうだと思うし、それはそれで良いのかもしれません。

 

ここからが本題の『出生前診断』についてです。 

今ではよく知られていることだと思いますが、自然流産胎児のおよそ60%前後に染色体異常があると『日本産婦人科医会』などでも紹介されています。

かつて50%が染色体異常といわれていたが,最近のマイクロアレイを用いた研究では60~70 %が染色体異常であった.

出典:1.総論 – 日本産婦人科医会

 

さらに詳しく知りたいかたは『日本産婦人科医会』リンクを確認してください。

www.jaog.or.jp

 

染色体異常でよく知られているのが『ダウン症』、これは21番目の染色体に異常があるパターンであり、日本においては出生児のおよそ1000人に1人と言われています。

 

妊娠から出生に至らず自然流産する確率は約10%~15%といわれてますから妊娠が確認された時点で10%弱は染色体異常であるということを認識する必要があります。

 

前述したように染色体異常という事象はそれほどレアなものではないのです、いつ誰が染色体異常の子を授かっても、染色体異常をもって生まれてきた子供を持ってもおかしくはないのです。

 

少なからず私のブログを見ている方もいらっしゃいますので、素人が説明するには重い内容ですので参考程度に知りたい場合はウィキペデイアで、さらに詳しくは『NIPT JAPAN』のページでご確認ください。

ja.wikipedia.org

niptjapan.com

 

2013年の導入以降、5年半の間に、6万人を超える妊婦が新型出生前診断を受けています。
“陽性”が確定したのは約890人。そのうち9割が中絶に踏み切っているのです。

出典:【特集】陽性確定で9割が「中絶」…『新型出生前診断』重い決断伴う検査に…“無認可“での実施も横行 | 特集 | 報道ランナー | ニュース | 関西テレビ放送 カンテレ

 

出生前診断』によって染色体異常と診断された場合に9割の妊婦が人工妊娠中絶を選択しています。

 

引用にある6万人という数字も今回『厚生労働省』が方針転換する以前の話ですので、今までは『出生前診断』じたいを知らなかった妊婦が方針転換によって全ての妊婦が『出生前診断』の存在を知ることとなります。

 

そして方針転換によって『出生前診断』に関するカウンセリング体制も国ベースで整えられていくと思われ、『出生前検査に係る情報提供体制(案)』は下記リンクで確認することができます。

出生前検査に係る情報提供体制(案)

 

但し『出生前診断』にかかる費用については保険適用外で、およそ30万円かかると言われており、誰もが出せる額とは言い難く、これについての変更は現時点ではないようです。

 

なお、今までの『出生前診断』は該当者を対象に『日本産科婦人科学会』が指針を定め、

www.jsog.or.jp

『日本医学会』の認定施設で実施されてきました。

2019年12月18日時点で109の施設を認定しています。

※ウィキペデイアでは92施設となっていますが、その後17の施設が認定されています。

 

www.jsog.or.jp

実際には『出生前診断』は非認可施設でも行われており、特にカウンセリングについては『日本産科婦人科学会』が示す指針を遵守していたかはご想像にお任せします。

 

冒頭に書いたように一般の方々よりは『ダウン症』に関わる人達と接する機会も多いことから、以前妻に『出生前診断』をするか否か?『染色体異常』が認められた時点で『中絶』するか否か?を聞いたことがありますし今でも夫婦の話題になることもあります。

 

出生前診断』については妊娠時に高齢であれば『する』、『中絶』については『そういう状況にならないと解らないけど、簡単に中絶するとは言えない』と言うことを聞き、『生命』を授かるということの重さを知った覚えがあります。

 

 そもそも『出生前診断』で陽性だからといって中絶を安易に認めることが倫理的に間違ってはいないのか、それは染色体異常を持つ障害者への差別ではないのか。

 

出生前診断』で解るのはあくまで染色体異常であり、その他の障害を検査できるのものではありません、本当に悪い言い方をすれば生まれる前に障害があると解ったら切り捨てていこうということです。

 

でも障害を持った子を育てていくということは親の負担、国の負担、そして少子化が進むなかで少ない税収を考えると止むを得ないのかなとも思います。

 

ただ、他にもある各種障害の中で染色体異常だけが切り捨てられることは、現在も生活している染色体異常のある人の存在や否定にも繋がります。

 

本人はもちろん、その家族へたいしても何らかのフォローがあって然るべきとも考えてしまいます。

 

出生前検査方針転換報道が公になる二年前の2019年3月1日付けで『日本ダウン症協会』は公式ホームページにて見解を示しています。

www.jdss.or.jp

興味のある方もない方も全文に目を通して欲しいのですが、多くのメディア同様に切り取りにもなってしまいますが、ここだけはこのようにならないように感じて欲しいと思います。

「忌避すべき質の、排除すべき質の生命がある」という結論に社会通念を誘導しかねないと感じています。

出典:NIPT指針改定をめぐる動きについて | 公益財団法人 日本ダウン症協会|その他の事業

 

www.jdss.or.jp

 

染色体異常を持って生まれてきた子供が将来的に自立して生きていくのは難しいという社会的な現実は存在します。

 

それでも障害者のある子を持つ親だから思うのかもしれませんが『日本ダウン症協会』が発した『社会通念を誘導しかねない』このことは国はもちろんですが、個人個人が考えなければいけないことではないでしょうか。

 

 

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