最近は新刊に疎い・・・
そもそも普通の書店に行くことが昔に比べて激減した^^;
多くのメディアで取り上げられるので、
受賞作家については見聞きすることが多く、
知らず知らずのうちに覚えている。
前述した賞以外はメディアに取り上げられることが
少ないこともあり自ら情報を取りにいかないとなかなか
知ることがない、ゆえに『吉川永春』さんを知らなかった(笑)
吉川永青(よしかわながはる)
いちよウィキペディアまで見たくない人のために
『裏関ケ原』にあるプロフィールを抜粋。
2010年『我が糸は誰を操る』で第5回小説現代長編新人賞
奨励賞を受賞。同作は『戯史三國志 我が糸は誰を操る』と
改題し、翌年に刊行。・・・
詳細はウィキペディアにてご確認ください。
裏関ケ原
『裏関ケ原』には以下の短編が収められている。
いずれも1600年9月15日に行われた『関ヶ原』の合戦に
直接現地参戦していない大名達の話である。
なかでも私のお薦めは以下の三篇。
いずれも今まで私が読む機会がなかった大名を題材にして
いるのが一番の理由だが、そもそも上記の大名を題材に
したものは少ないのではないだろうか、特に『佐竹義宣』、
『織田秀信』などは見たことない思っていたら・・・
『佐竹義宣』についてはそこそこありました。
- 志木沢郁 「佐竹義重・義宣 伊達政宗と覇を競った関東の名族」
- 北原亞以子 「楓日記 窪田城異聞」
- 南原幹雄 「名将 佐竹義宣」
- 近衛龍春 「佐竹義宣―秀吉が頼り、家康が怖れた北関東の義将」
- 土居輝雄 「常羽有情」全6巻
『最上義光』もそこそこあります。
『織田秀信』はやっぱなかったですね。
知らない人のためにざっくり説明です。
死去した『織田信忠』の嫡男、
すなわち『織田信長』の嫡孫になります。
『三法師』の元服後の名前です。
お薦め三篇
ネタバレしないていどに三篇について
義理義理右京:佐竹義宣
これもうタイトルがいかしてます。
『義理義理右京』ですよ、右京とは正しくは『右京太夫』
1600年に行われた『関ヶ原合戦』前後であれば、
『右京』=『佐竹義宣』というふうに解釈されています。
『佐竹義宣』で私が思い浮かぶことは、こんな感じです。
これらは私が『佐竹義宣』を主題としてものを読んでいないことに
大きく起因するのですが、『関ヶ原合戦』という大きな題材のなかでは
多くの著者が『佐竹義宣』に文字を割いてないんですね。
今まで見たものでは『徳川家康』率いる上杉討伐軍本体と上杉との
合戦が始まったのを機に上杉討伐軍の背後を突くという盟約があった
にもかかわらず、上杉vs徳川の合戦が始まらなかったこともあり、
大きな軍事行動を何ひとつ起こさなかった。
実際のところ大局的に見れば『日和見』なので書くに値しないのかも
しれませんが、それを『義理』とう言葉を使い、たくみに『佐竹義宣』
という人物が描かれており、興味深く読まさせていただきました。
『徳川実紀』によれば、徳川家康は、義宣のことを、「今の世に佐竹義宣ほどの律儀な者はみたことがない」「しかし、あまり律儀すぎても困る」と評したとされるが、これは会津征伐における義宣の態度を念頭に置いたものである。
『佐竹義宣』についてもう少し詳しい内容はウィキペディアで確認
謀将の義:最上義光
『最上義光』で私が思い浮かぶことは、こんな感じです。
といったところでしょうか、『伊達政宗』の叔父ということは
置いといて秀次事件から長谷堂城の戦いへの経緯についてです。
2つとも点としては知ってはいましたが点の繋げ方が『最上義光』
という人物の生き様を投影していて興味深かった。
『最上義光』についてもう少し詳しい内容はウィキペディアで確認
鷹の目:織田秀信
タイトルだけでは誰を書いているのか想像も
できませんでしたが、『織田秀信』についてです。
『三法師』の元服後の名前です。
『織田秀信』で私が思い浮かぶことは、こんな感じです。
ちょっと歴史を知っている私にとって、関ヶ原合戦で
なぜ秀信が西軍についたか不思議で仕方ありませんでした。
西軍についたとしても刻一刻と変わる状況を見れば、
『岐阜城』に東軍を迎え撃つなんていかがなものかと思う。
それを今までの多くの人は戦勝時に「美濃・尾張」の
2国という『恩賞』によるものと結論づけてきました。
結果論から『織田秀信』という人物を評価するのにたいし、
著者は結果に縛られず『織田秀信』という人物を魅力的に書いており、
それは現代にも通じるもので、とても興味深い内容でした。
『織田秀信』についてもう少し詳しい内容はウィキペディアで確認
レビューのリンクはこちらから
まとめ
全編をとおして再評価されている『石田三成』に好意的な書き方がされています。
徳川250年の戦のない世の中の礎を築いた『徳川家康』は評価されてしかりと思います。
しかし、三成が主家のために殉じた忠臣であることは事実です。
『利』にあらず『義』を重んじる三成に自分もかくありたいと思うも、
出来ないからこそ強く憧れを抱きます。
そういう思いをさらに抱かせる今までにない著者の切り口が新鮮でした。
お薦めできる一冊です。
本書以外にも『吉川永青』さんの作品、
興味をそそるものが多く楽しみが増えました。
なかでも特に気になったのは以下の作品。
最後までお付き合いありがとうございます。
(了)